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ILLARIAが魅せるウクライナの民謡と神話の世界【歌詞和訳と解説】 - ESC2018のウクライナ国内予選を追いかける⑪

前回の記事を上げた際は未発表だったILLARIAのエントリー楽曲の公開に伴って、
当日だけど新しい記事を作りました。

さあ、
今年のILLARIAは
びっくりするぐらいめちゃくちゃかっこいい!!!!

ウクライナが育てたエスノロックの女王ILLARIAをよろしくお願いします!!!


ILLARIA - Сила(Cyla)


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■■2017年大会のレビュー■■

前回楽曲解説を書いたTAYANNAと同じく、
ILLARIAもまた、2017年の国内予選に参加し、ファイナルへ進んだアーティストの一人。
(2017年は、セミファイナル8人中1位、ファイナル6人中5位)

ILLARIAが民族音楽と現代の音楽の融合的歌唱を主ジャンルとしていて、
カバーを歌うにせよ、オリジナル楽曲を歌うにせよ、
いかに絶妙のバランスでエスニック要素を作品に取り入れているかは、
前回の記事で書いたとおりなのだけど、

だから、去年のこれはちょっとした驚きだった。

Thank You for My Wayっていうタイトルの、英語の歌、っていう情報で、
まず感じていたのが、
ILLARIAが英語で歌ったら彼女らしい魅力は欠けてしまうんじゃないかということと、
いつもの彼女の個性的な声とエスニックなノーツは、ESC向きではないだろうということ。

(録音音源)

勿論これはこれで良い曲なんだけど、
録音音源だけが発表された時点では「これはESCじゃない」というコメントもたくさん見た。
私も、ちょっと静かすぎてぼんやりしてしまうなぁと感じて、
アーティストとしては大好きな人であっても、
ILLARIAがESCに出るということについてはそんなに期待していなかったし、
点数も伸びないんじゃないかな…と予想していた。

(去年の動画(セミ2))

完全に想定外の方向性に、良い意味で化けた!!!!!!!!!
こういう方向性と可能性もあったのか!!!!

サビの声の伸び方、広がり方がとても気持ちいい。
静かでゆっくりなのに、内なる激しさがあって、
すべてを彼女の世界に飲み込んでしまうような雰囲気。

ステージで聴いたからこそ、この感想になったよ。

間違いなく英語で歌っているしエスニックなワードの一つもないのに、
民謡カバーを歌う時と同じ、心地よい揺れのある声で歌っていて、
普段のILLARIAが持っているオーラを全然殺していない。
これはおもしろい。
驚くべきセンス。

このことがあったので、今年も参加すると聞いてからずっと楽しみだった。
どんなジャンル・方向性で来るのかな……?????



■■ESC2018ウクライナ国内予選■■



2月8日夜に公式チャンネルから発表されたのが、今回のエントリー楽曲Силаである。
Силаは「力」という意味で、「シーラ」と読みます。

神秘的オーラ!!!!!
圧倒的な歌唱力!!!!!!!
めちゃくちゃかっこいい!!!!!!!!!

なんだこれ……

個人的には、まずは去年のThank you for my wayと比べるつもりで聴いたけど、
一瞬で沼に突き落とされた。

うん、これ、めっちゃ好き!!!!!

去年はゆっくりのバラードだったのが、今年はアップテンポで楽器の音使いが激しい楽曲に路線変更しているというのは、
TAYANNA(I Love You)→(Леля)とも同じ傾向だったりして。
今年は全体的にこういうのが流行りなのかな。

それから歌詞も、英語とウクライナ語の歌詞の混合になった。
民謡歌唱のILLARIAに英語は合わない…などということはない!とは前回で分かったので、
あまり言語にはこだわっていなかったのだけど、
ウクライナ語で歌われるウクライナの曲が好きな自分にとっては、
ウクライナ語で歌ってくれるとやっぱり嬉しい~~~~~



■■歌詞(+文法に忠実に和訳)■■

(0:04~)
Оє, дайє Боже, сил
Дістати крилами волю(*)!

おお、授けよ、神よ、力を授けよ
翼で自由(*)を勝ち取る力を授けたまえよ

*ウクライナ語のволяという語、辞書的にはfreedomあるいはWillだけど、
 日本語で自由とするとなんだか薄っぺらいし、かといって意志と訳すのも少し変だ。
 「(あらゆる行動や目的の達成のための意思決定を支える能力、意志決定を行う)自由」
 という意味で読んでもらえると、雰囲気が伝わるのかな…と思います。


(0:22~)
Оє дай, Боже дай! Небо -  моя сила!
Оє дай, Боже дай! Земле -  моя сила!
Оє дай, Боже дай! Древо – моя сила!
Древо моя сила!

おお、神よ、授けたまえよ!空は私の力である!
おお、神よ、授けたまえよ!大地は私の力である!
おお、神よ、授けたまえよ!樹木は私の力である!
樹木は私の力である!

(0:42~)
My dear human,
Just ask you one simple question –
Where is your dream land?
What is your secret passion?
О-hо-hо!
Don’t hide your face undercover
О–hо-ho!
You can feel your ancient power

愛すべきみなさんに、
ひとつ簡単な質問をしよう。
あなたがたの夢の国はどこにある?
あなたがたの秘めた情熱とは何だろう?
さあ!
それを隠してはいけない
さあ!
あなたがたは古代の力を感じることができるんだ


(1:08~)
Оє дай, Боже дай! Небо -  моя сила!
Оє дай, Боже дай! Земле -  моя сила!
Оє дай, Боже дай! Древо – моя сила!
Древо моя сила!

おお、神よ、授けたまえよ!空は私の力である!
おお、神よ、授けたまえよ!大地は私の力である!
おお、神よ、授けたまえよ!樹木は私の力である!
樹木は私の力である!


(1:26~)
You must remember -
Power is inspiration
The nature is clever
People are love creations
O-ho-ho!
We're different like any flower
O-ho-ho!
But We can feel our greatest power

あなたがたは覚えておかなくてはならない、
力はインスピレーションであると。
自然は人間よりも賢いということを。
人間とは愛の生き物であるということを。
さあ!
我々はそこいらの花とは違うんだ。
さあ!
我々はもっとも偉大な力を感じることができるんだ。


(1:52~)
Оє дай, Боже дай! Небо -  моя сила!
Оє дай, Боже дай! Земле -  моя сила!
Оє дай, Боже дай! Древо – моя сила!
Древо моя сила!

おお、神よ、授けたまえよ!空は私の力である!
おお、神よ、授けたまえよ!大地は私の力である!
おお、神よ、授けたまえよ!樹木は私の力である!
樹木は私の力である!


(2:08~)
Оє, дайє Боже, сил
Дістати крилами волю!

おお、授けよ、神よ、力を授けよ
翼とともに自由を勝ち取る力を授けたまえよ

 〈バックコーラス〉
  Оє дай, Боже дай! Небо -  моя сила!
  Оє дай, Боже дай! Земле -  моя сила!
  Оє дай, Боже дай! Древо – моя сила!
  Древо моя сила!

  おお、神よ、授けたまえよ!空は私の力である!
  おお、神よ、授けたまえよ!大地は私の力である!
  おお、神よ、授けたまえよ!樹木は私の力である!
  樹木は私の力である!


(2:28~)
Най вернеться зерно в гай,
Тай Сонечко зійде в рай

丘には穀物が再び栄え、
そして楽園には太陽が昇る。


(2:44~)
Оє дай, Боже дай! Небо -  моя сила!
Оє дай, Боже дай! Земле -  моя сила!
Оє дай, Боже дай! Древо – моя сила!
Древо моя сила!

おお、神よ、授けたまえよ!空は私の力である!
おお、神よ、授けたまえよ!大地は私の力である!
おお、神よ、授けたまえよ!樹木は私の力である!
樹木は私の力である!



なるほど。
タイトルの「力」というのは「神が創造した自然の力」ということだったのか。
あるいは、
「神々の宿る空と大地と樹木は私の力である」と。

自然の壮大さ、自然への畏敬、人間の可能性……について歌うという、
古い民謡らしい世界観
美しいなあ。

英語の部分では"ancient power"とも述べられていて、
ここで歌われている神とは、ウクライナの地でキリスト教が受容される988年以前の
アニミズムや自然崇拝の時代の、土着の崇拝対象なのかもしれない。

厳かで呪術的な独特の旋律と、
文明も知も書き言葉も常識も…まったく異なる時代の、
不可解、無気味さを思わせる宗教的な儀式のような楽器の音に秘められた意味も
理解できるような気がする。
(もちろん解釈のひとつとして)


それから最後の1分間で最強のパワーアップを見せる歌唱もすごい。

2:08~の、
Силаの一番の顔である"Оє дай, Боже дай……"の繰返しをバックに歌う部分は
重厚感があって雰囲気たっぷりで、本当に美しいし!!

2:40~は、
3オクターブのハイトーンを惜しみなく披露する最高の見せ場である。


そしてもう一つ、個人的にいいなぁと思う点。
見ればわかるんだけど、
Verseの部分が英語で、サビの部分がウクライナ語で、
順番に入れ替わるようになっていて、
ウクライナ語の部分は、同じフレーズの繰り返しになっている。
というか全体的に素材の種類が少なめで、繰り返しが多い。

例えば、If Love Was A Crime(2016年ブルガリア)の構成と同じなんだけど
キャッチーで覚えやすい、耳に残りやすいこのタイプは、ESCにもきっと向いてる。

至ってありがちな構成だとは思うんだけど、
この構成はやっぱりうまい。

英語で歌うのか母語(その他の言語)で歌うのかということは、
アーティストのポリシーだったり、
アーティストがこの歌はこの言語で歌うのが似つかわしいだろうって選択できることが
やっぱり相応しいと思うんだけど、

色々言っても英語の楽曲が好まれる傾向のESCで、
母語を取り入れつつも親しみやすくなっているというか、
母語で歌う部分の情報量は少なめにして、
「何を言っているかわからない「から」おもしろくない」という印象になってしまうのを
可能な限り抑えつつ、

お国の色を醸し出したり、
メッセージ性と直結する言語を選んで、歌唱に気持ちを乗せやすくしたりして、
やりたい表現を追求しているというか。
そういうバランスがうまいのもСилаの好きなポイントのひとつ。


というわけで、
Силаのどこが素晴らしいかについて、個人的に思ったことを書いてみた。
勿論考えなくたって、なんとなく勢いに任せてかっこいいな~って聴くのもいいんだけど、
っていうか最初はそこから始まるんだけど、
どういうところが美しいのか、練られているのか考えるのも楽しい。


個人的には、去年の数倍本気で勝ちに来たな~~~って印象。
超期待。
そんでステージ化けすることもわかっているので、
セミファイナル2で聴ける生歌が待ち遠しいですね!!!!!

セミ2では、9人中8番目という幸運のくじ引きをキメたILLARIA。

今年も国内予選ファイナルへの切符を手に出来るといいな!!!と支えるとともに、
きっと素晴らしいものになるだろうステージを楽しみにしたいと思います。


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ILLARIAの過去の音楽活動やオーディション番組へ出場したときの話をまとめてあります。
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