FC2ブログ

女神の悲恋を歌うTAYANNAは勝者となりうるか【歌詞和訳と解説】 - ESC2018のウクライナ国内予選を追いかける ⑦

ついにこの日を待っていた!!!!!!
Eurovision Song Contest 2018におけるTAYANNAの楽曲"Леля(Lelia)"の
フルバージョン音源がついに公開されました。
嬉しい!!!!!!




というわけで、以前、TAYANNAについてつらつら語った記事の続きとして、
楽曲について感想と解説を書いていきたいと思います。

*******************************

■■2017年大会のレビュー■■

2017年の国内予選で I Love You を発表した際、
国内・国外の双方から、最有力候補として大変に支持の厚かったTAYANNA。

(去年の動画)


(ESCにおいては)王道のパワーバラードってやつだ。
抜群の安定性のある歌唱、美しいハイトーン。
最後までぐいぐい押してくる感情の波、怒濤の迫力。
これは3分間の壮大なドラマ。
かっこいい……何度見ても聴いても飽きない。
I Love Youは名曲である。

去年、この人が5月の本大会へ進むと信じていたファンは多かった。
残念だったね…。
そんな過去もあって、今年の楽曲には、多くの人が期待を寄せていることだろう!



■■ESC2018ウクライナ国内予選■■

本題。
改めて、今年の Леля を。

昨年のI Love Youとはうってかわって、エネルギッシュなファンクである。

「明るい歌」というわけではないのだけど、
ビッグバンド的なサウンドと、メロディの疾走感が実に心地よく。
ちょっと踊りながら聴けそうな、「陽」のオーラたっぷりの仕上がりだ。

よく言えば王道、変な言い方をすればちょっとダサい……というサウンド、
(70~80年代にこういう音が流行していた気がする)
音も歌詞も、繰り返しが多めのシンプルな構成で、
キャッチーで覚えやすい!ノリやすい!
という点は、ESCで喜ばれる基本をおさえているようにも感じられる。

難解すぎてもいけない、退屈になってもいけない。
ごちゃごちゃ詰め込まず、シンプルな構成でいかに光るものを見せるか、って
難しいところだと思うので、
このバランスがうまくいっている歌は芸術点高いな~~~と思います。

それから、歌パートがぎっちり詰まっていて、
最後(4回目)のサビは転調になっていて(ここはI love youと同じ!)、
どんどん昇り詰めていく勢いがある。

このスピード感と密度は、
手に汗握るような、息をするのも忘れてしまいそうな、切迫した感じがあって、
歌詞の内容とも密接にリンクしているのではなかろうか。
これを狙って作られている/歌われているなら、
12点満点だ。
12点じゃ足りない。

そして歌詞。
I love youは英語詞だったが、今回は全編ウクライナ語になっている。
(後日しれっと英語歌詞に変更される…という可能性も捨てきれないが。)



■■タイトルのЛеляとは??■■

まず、楽曲タイトルのЛеля(Lelya/レーリャ)とはなんぞや???????

Леля(Lelya/レーリャ)とは
東スラヴ神話における、愛の女神としてのキャラクターである。
レーリャは、その身を花や草で着飾った、若く美しい女性の姿をしていて、
若い女性たちの味方であり、
彼女たちの仲介者(聖と俗の間を橋渡しする仲介者)であり、
彼女たちの守護者である……ということだそうだ。
【参考:Wikipedia(ロシア語ページウクライナ語ページ)】

ビジュアルイメージはこんな感じ!
↓↓↓


スラヴ神話がベースということなら、
ロシア・ウクライナ・ベラルーシ・ブルガリア・セルビア…等以外の視聴者にとっては
馴染みのない文化だろう。
私自身、ウクライナの萌え豚をしていても、文学・神話の教養は皆無なので、
今回ざっくりとWikiを読んではじめて知りました。
それゆえ神様についての解説は、ざっくりすぎる概要のみでご寛容くださいませ。



■■歌詞(+文法に忠実に和訳)■■

(0:04~)
Щастя досі ти не знала,
Чуда від нього ти ждала.

その時まであなたは幸福を知らなかった。
あなたは彼から与えられる奇跡を期待して待っていた。

(0:17~)
Одного разу так сталося, 
Що Леля так закохалася 
Як сонце у небо, як день у ніч

ある日こんなことがあった、
レーリャは恋に落ちたんだ。
まるで空に対する太陽、夜に対する昼だった。
(=太陽が空に恋に落ちるような、昼が夜に恋に落ちるような恋だった。)

(0:28~)
Втікала з дому за огорожу 
Кричала мамі жити не можу 
Без нього дихати.

レーリャは塀を飛び越えて家から逃げ出した。
そして母親に向かって叫んだ。私は生きていけない、
彼なしでは息も出来ない、と。

(0:39~)
А що ж ти Леля наробила,
Кому серце своє відкрила
Так себе не шанувала
Любов то є велика сила

レーリャ、あなたがしたことは、
誰かに向けて自分の心を開け放つことだったんだ。
あなたは自分のことなんて、なりふりかまわなかった。
愛には、大きな力がある。

(0:51~)
Леля, Леля налила півморя сліз, налила півморя сліз,
Бо закохалася 
Леля, Леля налила півморя сліз, налила півморя сліз,
Бо закохалася 
Не в того в кого треба

レーリャ、レーリャは、涙の雨を注いだ。
恋に落ちたからだ。
レーリャ、レーリャは、涙の雨を注いだ。
愛するべき人でなかった人と恋に落ちてしまったからだ。

(1:12~)
Було не так як гадалося 
Лелю кохати боялися,
Бо карі очі темні як нічка.

想像していなかったことが起きた。
男性たちはレーリャを愛することを恐れていた、
彼女が夜のように暗い茶色の瞳をしていたからだ。
(*「карі очі(茶色の瞳の少女・女性)」は、ウクライナ民謡の歌詞において、恋をする/激しい愛に巻き込まれる美しい女性・少女の身体的特徴として出てくるちょっとした定番である。それに関連した象徴的な意味・連想的な効果があるんだろう…と思う。)

(1:23~)
А їй би знову втікати з дому,
Кричати мамі слова знайомі,
Кохати і мріяти.

もしも、レーリャが再び家から逃げ出すことができていたらなぁ。
ありがちな言葉を、母親に向かって叫んだり、
恋をしたり、夢を見たりできたらよかったのに。

(1:34~)
А що ж ти Леля наробила,
Кому серце своє відкрила
Так себе не шанувала
Любов то є велика сила

レーリャ、あなたがしたことは、
誰かに向けて自分の心を開け放つことだったんだ。
あなたは自分のことなんて、なりふりかまわなかった。
愛には、大きな力がある。

(1:45~)
Леля, Леля налила півморя сліз, налила півморя сліз,
Бо закохалася 
Леля, Леля налила півморя сліз, налила півморя сліз,
Бо закохалася 
Не в того в кого треба

レーリャ、レーリャは、涙の雨を注いだ。
恋に落ちたからだ。
レーリャ、レーリャは、涙の雨を注いだ。
愛するべき人でなかった人と恋に落ちてしまったからだ。

(2:17~)
Леля, Леля налила півморя сліз, налила півморя сліз,
Бо закохалася 
Леля, Леля налила півморя сліз, налила півморя сліз,
Бо закохалася 
Не в того в кого треба

レーリャ、レーリャは、涙の雨を注いだ。
恋に落ちたからだ。
レーリャ、レーリャは、涙の雨を注いだ。
愛するべき人でなかった人と恋に落ちてしまったからだ。

(2:38~)
Леля, Леля налила півморя сліз, налила півморя сліз,
Бо закохалася 
Леля, Леля налила півморя сліз, налила півморя сліз,
Бо закохалася 
Не в того в кого треба

レーリャ、レーリャは、涙の雨を注いだ。
恋に落ちたからだ。
レーリャ、レーリャは、涙の雨を注いだ。
愛するべき人でなかった人と恋に落ちてしまったからだ。


※歌詞の出典はTAYANNA公式がYoutubeにアップしている動画のキャプションですが、
 冒頭2行のみ耳コピのため、部分的な誤りの可能性があることを、お断りしておきます。


へーーーーーー
こんな内容だったのか。

「レーリャは…だった」
「レーリャ、あなたは…した」
という言い回しなので、
激しい恋に落ちた女性の目線で、
自分を愛してはくれない人と恋に落ち、泣き崩れるしかなかった、
幸せになりたかった美しい愛の女神のエピソードを想起している歌、ということになるのかな。

※「あなた」と訳したが、この歌詞の語り手は、
 親しみのある方の2人称単数、Ти(*)でレーリャのことを呼んでいる。
 (*例えば仏語における vous ではなく tu のほう、と考えてもらえれば。)
 レーリャは女性たちにとって親しみ深い、感情を寄せられる味方だからだろう。

疾走感あるメロディに乗せた悲恋の物語。
ベッタベタなまでの王道!!!だがこれがいい~~~!!!!!

個人的にはめちゃくちゃ好みです。

純粋に音楽とヴォーカルの雰囲気を聴いて、
情熱的で激しいメロディ(BPMいくつだこれ…)の
活発でエネルギッシュなファンクロック……という、
バラードのI love youとはまさに対極という第一印象だったけれど、

やはりTAYANNAは今年も、悲しい恋について熱烈な想いをぶつけて歌うのであった。

歌詞と言えば、
英訳・多言語訳が既に現れはじめているので、紹介しておきます。
和約はしたけれども、英語を見たほうが掴めるニュアンスというのもある。



■■TAYANNAはファイナルへ進めるか■■

ファンとしてはやはり結果が気になる。
Леляが一体どんな風に受け止められるだろうか、個人的に考えてみた。

TAYANNAが2018年もESCに挑戦する!と宣言してから2か月ほど経った。
今年の楽曲には、多くの人が期待を寄せていることだと思うが、
注目を集めているのは、
"Леля"は"I Love You"を超えることができるのか、
という点ではなかろうか。
優劣は決して大事な問題ではないが、
状況が状況だけに、去年との比較を避けて通れない。

"I Love You"はESCで票を取る基本をおさえた女性歌手パワーバラードだった。
この系統には「また Female Ballade か…」という皮肉的コメントがつきものになりつつあるし、
同系統を発表してくる代表が多数いるだけに、
同じ趣向の視聴者による「票の分けあい」になってしまうデメリットは看過できないが。
そうはいっても、バラード路線はやはり王道で、伸びるのだろう。

"I Love You"のほうが良かった!という声が多数であれば、
"I Love You"でTAYANNAを知った/好きになったけど……という視聴者の票は
逃げてしまう恐れも大きい。
昨年安定していた審査員票の行方も、予測不可能になった気がする。

今年のTAYANNAが、第一印象ががらりと異なる楽曲を持ってきたのは、
大きな挑戦になっている。

ぜひ、なんとしても、このチャレンジが吉と出てほしいところです…!!!!

歌詞を読んでみて、
精一杯のハイトーンで絞り出されるTAYANNAのボーカルに籠められる意味を思えば、
「路線変更に見えてあんまりそうじゃなかった」
「TAYANNAの持ち味には遜色ない」
ということが言えるんじゃないかな。

その一方で、アップテンポで明るくて勢いがある!なんだか楽しい!!!
という風に聴ける楽しみ方が残されているのもまた良し。

「I Love Youのほうがよかった」勢にとっても、
元気な曲を歓迎している勢にも、喜ばれる楽曲になったんじゃないかな!
と好意的な解釈をしてみたりするのです。

そしてなんといっても、TAYANNAはステージ映えの人である。
映像なしで録音音源を聴いただけの段階では
まだ伝わってきていない「良さ」が絶対にあるのだ。

そんな彼女の第1回目のステージは、2月17日のセミファイナル2にて。
9人中4人目にステージに上がることとなります。
楽しみに待ちましょう~~~~~~~!!!!!!!

*******************************

TAYANNAの過去の音楽活動やオーディション番組へ出場したときの話をまとめてあります。
スポンサーサイト



Comment

(編集・削除用)
管理者にだけ表示を許可

Trackback

URL
http://nadezhda380.blog.fc2.com/tb.php/35-074fbad0
この記事にトラックバック(FC2Blog User)

プロフィール

腐葉土

Author:腐葉土
ブヒブヒする場所

最新記事

最新コメント

月別アーカイブ

カテゴリ

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

ブロとも申請フォーム

QRコード

QR
Copyright © 腐葉土